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「あの頃はなんでも食べられたのに…」歯の本数で変わる、食事の未来

誰もが一度は、「おいしい食事をいつまでも楽しみたい」と願うのではないでしょうか。
しかし、年齢を重ねるにつれて、
「以前は平気だったものが噛みづらい」
「いつの間にか好きなものが食べられなくなった」
と感じることがあります。
その原因は、もしかしたら歯の本数が減ってしまったことにあるかもしれません。
今回は、歯の残存数と食生活の密接な関係について、当院の院長がわかりやすく解説します。
 
はじめに:日本人の「歯の健康」の現状
厚生労働省が推奨する「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存知でしょうか? 「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という目標です。永久歯は通常28本(親知らずを含めると32本)生えていますから、20本というのはおよそ3分の2にあたります。20本以上の歯があれば、ほとんどの食材を問題なく噛み砕くことができるとされています。
しかし、残念ながら、この目標を達成している人はまだ多くありません。歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病です。これらは、日々のセルフケアや定期的な歯科検診を怠ると、年齢とともに進行し、やがて歯を失うことにつながります。
 
歯の本数と噛む力の関係
歯の本数が減ると、当然ながら「噛む力」が衰えます。
  • 28本(親知らずを除く)の歯がある状態

    この状態が理想的です。すべての歯が協力して食べ物を効率的に噛み砕き、すり潰すことができます。硬いおせんべいや繊維質の多い野菜、弾力のある肉なども、問題なく楽しむことができます。
  • 20本以下の歯になってしまうと

    20本を切ると、咀嚼(そしゃく)機能が著しく低下すると言われています。特に、食べ物をすり潰す役割を担う奥歯を失っている場合、食事の満足度は大きく下がります。食べ物をしっかり噛めないため、食材の選択肢が狭まります。厚生労働省の調査でも、歯の本数が19本以下の人は、20本以上の人に比べて野菜類や肉類の摂取量が少なくなるという結果が出ています。
  • ほとんど歯がない状態(無歯顎)

    この状態では、固形物をそのまま口に入れることはほぼ不可能です。お粥やミキサー食、ペースト食など、軟らかいものしか食べられなくなります。 食事の楽しみが失われるだけでなく、栄養バランスが偏り、全身の健康に悪影響を及ぼします。
 
歯が減ると食べられなくなる具体的な食材
では、歯の本数が減るにつれて、どのような食材が食べづらくなるのでしょうか。
【歯が減り始めたら要注意!】
  • 硬い食材: 漬物、フランスパン、おせんべい、ナッツ類
  • 繊維質の多い食材: ごぼう、たけのこ、きのこ、こんにゃく
  • 弾力のある食材: イカ、タコ、貝類、こりこりした軟骨
【さらに歯が少なくなると…】
  • 肉類: 筋の多い肉、薄切りでない肉
  • 野菜・果物: 生野菜のサラダ、リンゴの皮
  • その他: お餅、たくあん
これらの食材は、噛む力が弱いと喉につかえたり、消化不良の原因になったりします。食事の準備も、軟らかく煮込んだり、細かく刻んだりする必要が出てきて、手間がかかるようになります。
 
食べられるものが減ると起こる全身への影響
食事の幅が狭まることは、単に「食べられなくて残念」というだけでは終わりません。私たちの体全体に、さまざまな影響を及ぼします。
  1. 栄養の偏り

    硬い野菜や肉、魚を避けるようになると、ビタミン、ミネラル、タンパク質などの摂取量が減ってしまいます。その結果、炭水化物に偏った食生活になりがちです。 低栄養状態は、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉減少症)を引き起こし、全身の健康を損なう原因となります。
  2. 消化器官への負担

    噛み砕くことが十分にできないと、食べ物は大きな塊のまま胃や腸に運ばれます。これは消化器官に大きな負担をかけ、消化不良や胃もたれの原因となります。
  3. 認知機能の低下

    よく噛むことで、脳の血流が促進され、脳が活性化すると言われています。歯を失い噛む回数が減ると、脳への刺激が減り、認知機能の低下を招くリスクが高まると考えられています。
  4. 会話への影響

    歯が抜けると、発音が不明瞭になり、会話がしづらくなることがあります。人と話すことが億劫になり、社会的な交流が減ることで、生活の質(QOL)が低下する恐れがあります。
 
いつまでもおいしく食べるために、今できること
では、どうすればいつまでも好きなものを食べ続けられるのでしょうか。
 
1. 定期的な歯科検診
歯を失う最大の原因である虫歯や歯周病は、自覚症状がないまま進行することが少なくありません。定期的な歯科検診は、これらの病気を早期発見し、進行を食い止めるための最も効果的な方法です。痛みがないので大丈夫、痛くなったら歯科受診したらいいという考え方で過ごしていると痛くなった時には手遅れになったり、痛みを伴うことなく歯が揺れ始めて自然に抜けてしまったりすることもあるのです。
 
2. 歯を失ってしまった場合の治療
もし残念ながら歯を失ってしまったとしても、諦める必要はありません。
インプラント
  • 入れ歯(義歯): 多くの歯を失った場合に有効な治療法です。患者さんの口腔内の状態やライフスタイルに合わせて、様々な種類の入れ歯を提案できます。
  • ブリッジ: 失った歯の両隣の歯を土台にして、人工の歯を橋のようにかける治療法です。
  • インプラント: 顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。天然の歯とほぼ変わらない感覚で食事を楽しむことができ、近年注目されています。
当院では、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診察し、最適な治療法をご提案しています。
 
3. 日常生活でできる工夫
  • 口腔機能のトレーニング: 「パタカラ体操」など、お口の周りの筋肉を鍛える体操も有効です。
  • 調理法を工夫する: 食材を軟らかく煮込んだり、細かく刻んだり、とろみをつけることで、噛む力が弱い方でも食べやすくなります。
 
おわりに:食事の楽しさを、あきらめないで
「食べたいものが食べられない」という悩みは、単なる不便さではなく、心と体の健康に深く関わる問題です。
もし、以前のように食事が楽しめなくなったと感じている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当院にご相談ください。患者さんの声に耳を傾け、一人ひとりに合わせた解決策を一緒に探していきます。
いつまでもおいしい食事を楽しめる、豊かな人生のために、私たち歯科医師が全力でサポートいたします。
 

【スタッフより一言】

「以前は固いものが食べられなかった患者さんが、治療後、ご家族と一緒に焼肉を楽しめるようになったと笑顔で教えてくださったことがあります。私たちは、その笑顔のために日々診療に励んでいます。」
「働く世代の皆さんは仕事や家庭のことで忙しく、どうしてもご自身の体や歯に関することを後回しにしてしまいがちです。しかし、体や歯の健康は将来のご自身の健康にかなりの影響を与えます。特に歯は、こちらのブログに書かせていただいたように歯の状態が悪くなると体の状態も悪くなるというようにリンクしてしまうことも多々あります。お忙しい中ではあると思いますが、年齢に拘らず検診の受診や歯科治療が必要であれば終了するまでしっかり受診して治すことがとても大切だと思います。」
【ブログ読者の方へ】

この記事を読んで「もしかして自分も…」と感じた方は、まずは無料相談にお気軽にお申し込みください。あなたの大切な歯を守るために、第一歩を踏み出しましょう。
 
医院外観

津田歯科・矯正歯科の医院情報

津田歯科・矯正歯科

住所:大阪府大阪市都島区善源寺町1-5-37 美代志ビル1階

アクセス:大阪メトロ谷町線「都島駅」より徒歩3分

電話:06-6922-6480

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土曜 9:30~13:00 / 14:00~17:00

休診日:木曜・日曜・祝日(GW・お盆・年末年始あり)

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